入力日文 | 彼女はにっこり笑ってぼくにあいさつした。 | |
日本語文型パターン | N1はにっこり笑ってN2にV3した。 | |
英語文型パターン | N1 V3 N2 with a big smile. | |
訳出英文 | She greeted me with a big smile. |
まず,「彼女はにっこり笑ったぼくにあいさつした。」は「N1はにっこり笑って N2にV3した。」という日本語文型パターンに適合する.「〜はにっこり笑って〜 に〜した。」が非線形要素,「N1」,「N2」,「V3」が線形要素である. 次に,適合した日本語文型パターンと対に用意されている英語文型パターン 「N1 V3 N2 with a big smile.」を使用する. 英語文型パターンの「with a big smile.」が非線形要素,「N1」,「N2」,「V3」 が線形要素である. まず,訳出文において,非線形要素 「with a big smile.」が決定される.次に,線形要素「N1」,「N2」,「V3」 に対応する日本語を翻訳し,代入する.この時,線形要素は複数の翻訳候補を用 意し,尤度の高い組合せを選択する.組合せの例を図2に示す.
図2は,矢印の単語の流れに沿って,尤度の計算を行う.尤度計 算には,2単語の共起確率から計算を行う「bi-gram」を使用している.この例 では「She」「greeted」「me」が最も尤度の高い組合せと判断されたため,訳出 文は「She greeted me with a big smile.」となる.
本研究では,ITMによって重文・複文を翻訳した際,全体の意味を保存したまま, 簡潔・明瞭な翻訳文が出力されることに注目する.この翻訳文を意訳と考え, ITMの意訳効果の評価を行う.