対話行為タグは,「行為タイプ」,「対象タイプ」, 「補助属性1」,「補助属性2」の4つ組で構成する. 以前の設計[6]と比べて,文脈に依存しない判断でタグが付与できるように 変更をしている.表1に構成要素の種類と説明をまとめて示す.
項目 | 要素 | 説明 | |
行為タイプ | 質問 | 5W1Hのように,仮説が述べられていない疑問文 | |
確認 | Yes/Noで答えられるように,仮説が述べられている疑問文 | ||
伝達 | 事態を述べる文 | ||
要求 | 聞き手の行動を定める文 | ||
はい | 「はい」など承諾,肯定を表す文 | ||
いいえ | 「いいえ」など拒否,否定を表す文 | ||
その他 | 挨拶や相づちなど上記以外の文 | ||
対象タイプ | 生理 | 身体の内部や表面での感覚 | |
欲求 | 生理や社会に起因して生じる願望 | ||
情緒 | 喜び,悲しみなどの感覚 | ||
プラン | 人物の行動の1つ以上の系列 | ||
動物の動作も擬人化してプランとして扱う | |||
属性 | 物事に対する評価や性質 | ||
その他 | 上記以外のもの | ||
補助属性1 | 過去 | 対象は過去のものである | |
非過去 | 対象は過去のものではない | ||
補助属性2 | 否定 | 対象は想像上であり,否定する | |
想像 | 対象は想像上であり,否定しない | ||
実在 | 対象は実在した,あるいは実在する |
行為タイプは,対話行為として一般的な種類のものを挙げている. 以前からの変更点は,「受諾」,「拒否」,「肯定」,「否定」を廃止し, 「はい」,「いいえ」を導入したことである.対話において, 「要求」された場合には「受諾」または「拒否」で,「確認」された場合には 「肯定」または「否定」で応答するのだが,実際の対話においては, こうした判断を付けるのが難しい場合があるので,粒度を粗くした.
対象タイプは,心的状態に関わるものを挙げている. 以前からの変更点を以下に示す.
対象タイプの変更に伴い,欠落する情報があるので, 補助属性1と2を追加している.
以下に,対話文に対するタグ付与の例を示す.
「何処に行くの?」:〔質問,プラン,非過去,想像〕
「今日は色々と大変だった。」:〔伝達,属性,過去,実在〕
「違うもん。」:〔いいえ〕
「宝くじが当たったの!?」:〔確認,その他,過去,想像〕
「こいつら死ねばいいのに。」:〔伝達,欲求,非過去,実在〕
「さよなら。」:〔その他〕
「このコーヒー甘っ!」:〔伝達,生理,非過去,実在〕
「さっさとしないと置いて行くよ。」:〔伝達,プラン,非過去,想像〕