ここで、竹内[1]の分類表を計算機で使用するとき、「陳述度」は形態素解 析の結果より、「底の名詞の抽象度」は底の名詞の意味属性より判断できるが、 「内と外の関係」については計算機では判断できないという問題点がある。そこ で、以下に本手法で「内と外の関係」を計算機で判断する方法について述べる。
「内と外の関係」を計算機で判断するにあたって、本手法では、日本語語彙大系
[3]を用いて格関係の有無の判断と決定を行う。
池原[3]らによって作成された日本語語彙大系[3]は「意味体系」「単 語体系」「構文体系」より構成されている。本研究ではその中の「意味体系」と 「構文体系」を用いた。
「意味体系」とは、単語の見方、捉え方に着目して、名詞の意味的用法を整理、 体系化したものであり、その中で名詞は図8に示すように最大12段、2710種類に 分類され、木構造を構成する。また「構文体系」とは日本語解析で発生する意味 上の多義の解消を目的として作成され、図9に示すように日本語用言を中心とす る文型を格フレームと類似の結合価パターンにまとめられている。
「構文体系」において、図9のように登録されている結合価パターンの格関係は 「必須格」とされ、これは、それぞれの用言にとって必要とされる格関係である。 しかし、図10に示すように、格関係のなかには「時」「場」などのように用言に よってはなくてもよいものもある。このような格関係は「任意格」とされ「構文 体系」の中には登録がされていないが、日本語複文において底の名詞となること もあるため、格関係とみなすことができる。
以上のことより、日本語語彙大系[3]を用いることで格関係の有無を決定で きると言える。