竹内[1]は、日本語複文の意味的構造を英語の構造と対比して文型化するこ とによって翻訳精度の向上を期待し、「内と外の関係」「底の名詞を修飾する述 部の意味的完結性(陳述度)」「底の名詞の抽象度」を考慮することによって日本 語複文の分類表を作成した。しかし、竹内の分類表を計算機で使用するにあたっ て、「底の名詞を修飾する述部の意味的完結性(陳述度)」は形態素解析の結果よ り、また、「底の名詞の抽象度」は名詞の意味属性より判断できるが、「内と外 の関係」は計算機で使用することが考慮されていないため、計算機を用いた翻訳 ができないという点が問題であった。
そこで本稿では、日本語複文の底の名詞の意味属性、修飾部の述部の結合価パター ンに着目することによって、「内と外の関係」の計算機による判断規則を作成し、 その判断規則を用いることで、竹内の分類表を用いた翻訳規則の作成を行う。 以下、第2章では、竹内の研究、第3章では、日本語語彙大系、第4章では、内と 外の関係の判断方法、第5章では、翻訳規則の考え方、第6章では、実験と結果、 第7章では、今回の結論を述べる。