ここでは、前章をふまえて「内の関係」と「外の関係」に分類する方法について 考える。「内の関係」と「外の関係」の大きな違いは「修飾部と底の名詞の間に 格関係が成り立つかどうか」である。そこで、「アンカー和英辞典」(約46000文) 中よりランダムに取り出した複文348文を対象に底の名詞の意味属性を日本語語 彙大系によって調べた。その結果を表2に示す。表2中の「…」はその属性の配下 を表す。これより以下のことが分かる。
また、図11に示すように底の名詞が同じであっても動詞によって「内の関係」に
も「外の関係」にもなりうる。これは、動詞によって格関係をとることができる
名詞の意味属性が異なるからである。具体的には、「聞く」という動詞は「N1が
N2を 聞く [N1(3主体)N2(1009意見)]」という結合価パターンを持ち「…/1009意
見/」の意味属性を持つ「意見」という名詞との間に格関係を持つので「内の関
係」と言える。また、「行く」という動詞の結合価パターンでは「意見」という
名詞の意味属性は当てはまらないので格関係がないとし、「外の関係」と言える。