竹内は「内と外の関係」底の名詞を修飾する述部の意味的完結性(陳述度)」「底 の名詞の抽象度」を考慮することによって日本語複文の 分類表を作成した。し かし、竹内の分類表を計算機で使用するにあたって、「底の名詞を修飾する述部 の意味的完結性(陳述度)」「底の名詞の抽象度」は判断できるが、「内と外の関 係」は計算機では判断できないため、計算機を用いた翻訳ができないという点が問 題であった。 そこで本稿では、底の名詞の意味属性および修飾部の述部の結合価パターンを考 慮することによって内と外の関係の計算機による判断規則を作成した。さらに、 その判断規則を用いて、竹内の作成した日本語複文の分類表を用いた日本語複文 の翻訳規則の作成を行った。判断規則の有効性を、アンカー和英辞典(約46000文) より抽出した複文348文中、分類表を使用できたもの204文を用いて検証した 結果、87.7%の正解率を得た。さらに、翻訳規則の有効性を検証した結果、 40.8%の英語表現の一致を得た。
この結果より、底の名詞の意味属性および修飾部の述部の結合価パターンを考 慮した内と外の関係の判断規則、及び、その判断規則を用いた翻訳規則の有効性 が示された。