12/28:綾辻行人2(ネタバレ注意!)


今日は先日の推理小説ネタの続きです。













「迷路館の殺人」…この本は私が個人的に一番好きな本です(10点)。 作中作の形を取っています。私は作中作と聞くとあまりおもしろそうなイメージはないのですが、これほど作中作をおもしろく扱えると思ってませんでした。
この作品のすごさは、作中の犯人(宮垣)とホントの犯人(鮫島)の選定でしょう。私は読みながら、宮垣が犯人だと思っており、中の作品を読み終わった時に「やっぱりそうだったか」と思いました。が!鮫島とは全く予想しませんでした。たしかに宮垣を除くと、消去法から鮫島になるんですが…あまりに目立たなかった。迷路を使ったトリックや著者鹿野(島田潔)と島田(潔の兄)などの叙述トリックも健在です。 これこそが作中作の醍醐味でしょうか。あと、作品の中にも出版社等が書いてあり、細かいところまでのこだわりも気に入りました。

「人形館の殺人」…この本はかなりの異色作ですね。今までよりいっそうダークなムードを持ち、今までのと違い嵐の山荘ではありません。はじめこの作品はイマイチでした。でも、読むほどに味が出てきて、やはりおもしろいと思います(6点)。
この作品はトリックより「フーダニット」がメインです。しかも容疑者が少なく、あきらかに架場があやしいように見せかけています。かくいう私も架場だと思ってました。この本のウリが叙述トリックで、それにまんまとだまされました。 たしかにこの本の主観「私」は想一であり、島田の主観が「僕」であるなどヒントが出てるのも綾辻さんらしいですよね。ホント綾辻さんの叙述トリックは緻密で、いつもだまされます。これからはまず、主観から疑ってみるか…